君恋 ~あの夏の記憶~
あたしはヘラヘラっと笑って先輩を見た。
けど先輩を見たらヘラヘラ何てしてらんなくて、
さっきまでの先輩は嘘だったんじゃないかと思うほど真剣な目をした先輩に、
思わず『はい』と頷いてしまいそうになった。
先輩のバスケに対する想いを身を以て感じて、あの頃の感覚がまた戻ってきた。
「俺は本気で結奈ちゃんにやってもらいたいって思ってる。
バスケ部のマネージャーやりたいって女はいっぱいいるんだ。
だけど、バスケが好きだからやりたいって女は1人もいない」
先輩は『そんな奴なんか、マネージャーにしたくないだろ⁈』そう言って笑った。
正直、嬉しかった。
あたしのこと必要としてくれてるって
みんなの力になりたいって思った。
だけどあたしにそんな勇気はないから…