君恋 ~あの夏の記憶~
もう1度、コートへ
「ほんと…最悪だよね、あたし。
皆はあたしを信じて任せてくれたのに、1番大事な場面で決めらんないなんて…」
先輩はそう言って涙を流し続けるあたしを抱きしめたまま、頭を撫でてくれた。
「結奈ちゃんの前のチームメイトはさ、結奈ちゃんだから任せたんだろ⁈
その場面で、結奈ちゃん以上のプレーをできる人がいないから結奈ちゃんにボールを渡したんだよ。
例えその試合に勝てなくても、結奈ちゃんはエースだから、頼りにしてたから」
先輩の言葉で余計に涙が溢れてくる。
「あたし…絶対に決めれるって思ってた…絶対優勝できるって思ってた。
あたしはすぐ油断する。だからきっとまた繰り返す。それならあたしは…
「結奈」
先輩があたしの言葉を遮ってあたしの名前を呼ぶ。