君恋 ~あの夏の記憶~
「俺は、結奈が好きだよ。
だから…俺と付き合って」
今度ははっきりと言われた先輩の言葉にあたしは目を大きく見開いた。
先輩も彼女なんてつくったことないって、誰かが噂してるのを聞いたことがあったから。
だからどうせあたしも無理だろうと心の何処かで諦めていた。
気づけばあたしの頬は涙で濡れていた。
「なんで…泣いてるの⁇」
先輩の困惑した声が聞こえる。
「うっ、嬉しくて…
あたしも…あたしも桐谷先輩が好きです」
「よかった」
先輩は小さく呟いた後、そっとあたしにキスをした。
甘くて、幸せな優しいキスだった。