嘘つきラブレター
「…大学生になるの、嫌だなぁ。」
少しだけ、本音が心の中から零れてしまった。
泰秀がいない教室
泰秀がいない授業
泰秀がいない学園祭
それを思い浮かべても、楽しくてキラキラしているものは想像できなくて。
寂しい寂しい。さみしいさみしいさみしい。
教室も授業も学園祭も、どんな楽しいことがあっても、泰秀がいないと意味ないよ。
「なーに、弱気になってるんだよ。」
そういって泰秀は私の頭を、ポンって。
軽々しく触れて、せっかくセットした髪をクシャクシャにする。
あっけらかんとした口調で、泰秀はケラケラ笑って。そんな姿は、私の胸をキュッと痛くする。
あーあ、崩れちゃった。これセットするの大変だったのに。
泰秀に少しでも可愛く思ってもらいたくて、朝、頑張ったのに。
泰秀は、いとも簡単に壊してしまうんだ。