野球観戦&セクシー・リップ
「ビールには揚げ物でしょう~」
嬉しそうにナゲットとフライドポテトがセットになった皿を私の方に差し出した。
「ありがとう」
私はポテトをつまんだ。
隆太がナゲットを口に放り込んだ後、油のついた人差し指と親指を形の良い厚めの唇で吸う。
チュッチュッ…ていう音がなんだか卑猥に聴こえてしまい、私は恥ずかしくなって俯いた。
時折吹く風は、かすかに潮の匂いがする。このスタジアムが海に近いせいかもしれない。
そんな空気の中で飲む冷えたビールは、最高に美味いっ!
私達は、あっと言う間に一杯目を飲み干してしまった。
「お代わりいかがですかあ?」
さっきのようこちゃんが、カラになった紙コップを目ざとく見つけ、声を掛けてきた。
「おっ、ありがとう。気が利くね」
「ありがとうございます!」
紙コップにビールを注ぎながら、
ようこちゃんは大きな瞳をキラキラさせた。
「俺も大学生の頃、横浜スタジアムで売り子のバイトしたことあるんだ」
隆太は、私に寄りかかるようにして、
ようこに話し掛けた。