野球観戦&セクシー・リップ


「えっ、そうなんですかあ!
いつ頃の話ですか?私の友達が横浜スタジアムでバイトしてて。
知ってるかなあ?」


「8年ぐらい前の話だよ。絶対カブってない」


「あ~そっか、残念!」


「ビールサーバー重いし、人とぶつかりそうになるし、結構大変な仕事だよな」


「はい!でも、もう慣れちゃったし、いろんな人とお話出来るから、楽しいです!」


「じゃ、頑張ってね」


テンポの良い会話の後、ようこは軽やかに階段を駆け上がっていった。



「…私、トイレに行くね」


私はなんとなく面白くなくて、席を立った。

疎外感っていうのとも違う。


職場が別なせいで、隆太が他の女の子と喋っているのを見たことがなかったから、なんかショックだった。


隆太が年下なせいか、私はなんとなく物分かりのいい女を演じている気がする。



ーーー私、もう31歳だよ。

周りの友達は、どんどん結婚して子供生んじゃってる。





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