青い残光【完】
「…サポーター席で観戦?」
それは、きらりさんから電話をもらった日だった。
次の試合、「サポーター」と呼ばれる観客が集まる席で観戦してみないかとお誘いを受けた。
その席は主に「ゴール裏」と呼ばれる。
ゴールの真裏の席を陣取り、応援のため試合中に歌い飛び跳ねる。
よくスポーツ番組などでも、選手と同じユニフォームを着て、盛り上がる観客が映るので存在は知っている。
正直ずっと興味はあったものの……チームのことを熱心に応援している人が多く、ちょっと気後れしていた。
……それに、ちょっと怖いし。
きらりさんは何度かゴール裏で試合観戦したことがあって、ずっとわたしを誘おうと思っていたらしい。
「そう!梅田くんも帰ってきたし〜大声出すとストレス発散になるし結構楽しいよ!」
「え…と、興味はあるんですけど……」
わたしが戸惑いながらそう返すと、きらりさんは嬉しそうに笑った。
「じゃあ決まり!次は一緒に観戦しようね!行ってみなきゃ分かんないでしょ!ねっ!!!!じゃ、次の試合でね!」
そう言うなり、きらりさんは勝手に電話を切った。
プー…プー…と悲しい音が耳元から聞こえる。
少し不安もあったけれど……わたしは楽しみでもあった。
そしてそのゴール裏こそが、わたしを変える場所になることを……わたしはまだ知らなかった。