青い残光【完】
その日の試合、彼は控えに入ったものの出場はなく……チームは勝利した。
勝利のハイタッチは格別で、とても楽しかった。
それは今までにない経験で。
わたしは、その非日常的な空間をまた味わいたいと思った。
その日の帰り道、きらりさんは言った。
「知り合いのサポーターが言ってたんだけど……サポーターは12番目の選手だから、選手と一番近いところにいたいんだって。喜びも、悲しみも、苦しみも。共に分かち合って…乗り越えたいって思ってるらしいよ。」
「……共に…」
「らしいよ!熱いよね!」
きらりさんは笑って、熱心な人だと言っていたけれど……。
そのサポーターの言葉が、何となく気になった。
本当に何となく、言いたいことが分かる気がしたんだ。
わたしに、彼の喜び、苦しみは分からないけれど……あの場所にいれば分かるんじゃないか、
一番近いところにいたら、彼を力付けることが出来るんじゃないか、
そう思った。
そして……わたしがサポーターになった時期と、彼が出場機会を得たのはほぼ同じ時期だった。
試合の翌日、わたしが経験したことのないような全身筋肉痛に苛まれ……。
電動車イスが欲しい…、と本気で思ったのは紛れもない事実である……。