青い残光【完】
それからすぐのこと。
彼が試合の出場機会を得たのは、本当に偶然だった。
ずっとスタメンだった選手が、練習中に怪我をした。
そして、彼に試合出場の機会が回ってきたのだった。
背番号は30番。
チームカラーの青いユニフォームが、ピッチにお目見えした。
彼の、チームでの初出場試合だった。
わたしも、選手に一番近い場所…ゴール裏でその姿に声援を送り続けた。
彼の名前をコールする時は頑張ってより大きな声を出したりした。
声を出し続け、飛び跳ね続けるのは、本当に辛くきつかった。
試合中にはやめてしまおうと何度となく思ったけれど、彼のことを思えば試合が終わるまで頑張れた。
彼は90分間走り抜き、ひたむきで彼らしさが全面に押し出たプレーだった。
そして彼は得点をアシストし、チームは勝利した。
その満足そうな笑顔を見れて、わたしは胸がいっぱいだった。
そして彼のその献身的なプレーは、1試合でも熱心なサポーターの心をつかむのに十分だった。
それからの数試合、試合に出るチャンスをもらった彼は着実に結果を残した。
チームのために走り続け、試合終了までの90分…強くひたむきだった。
そして、その後正式にスタメンの座を奪い取った。
ここから、彼の黄金期が始まる。