青い残光【完】
わたしは、ユニフォームを買った。
背番号には、30番のプリントをつけてもらった。
背番号をユニフォームに入れるのは別料金で時間もかかったけれど、「30」番のものが欲しかった。
真新しい真っ青なユニフォームは、とてもとてもキレイな青で……わたしは着れることを楽しみに思った。
そして、そのユニフォームに彼のサインが入ることも楽しみでたまらなかった。
早速差し入れを持って、わたしは練習場に向かった。
相変わらず彼は熱心で、皆が帰ってしまってもずっとボールを蹴っていた。
最後まで居残り練習をしている様を、わたしはフェンス越しにずっと見ていた。
それはわたしにとって貴重で、大切で幸せな時間だった。
こうやって、彼の姿を見ることが何よりも嬉しいんだと思うようになった。
最近……わたしは、彼に対して「見返り」のようなものを求める気持ちがなくなってきたのを感じていた。
いつからか…彼に、「わたしを見てほしい」なんて思わなくなった。
わたしに芽生えたのは……もっと優しい感情。