青い残光【完】
ロッカールームから出てきた私服の彼に声をかけることに、もうためらいはなくなった。
相変わらず、緊張はするけれど……。
「梅さん!」
「おっしー、」
この間会ったばかりだからか、忘れていなかったらしい。
彼はわたしの名前を呼んだ。
とても、嬉しかった。
じわっと頬が熱くなるのが分かった。赤くなってるかもしれない…。
それを誤魔化すように、わたしはバッグから差し入れを彼に渡した。
彼はニコリと微笑み、お礼を言った。
何か話そうと頭の中で話題を探っていると、少し気まずい無言が生まれた。
わたしはマズイと思った。
このまま無言が続いたら、きっと彼は帰ろうとするだろうと今までの経験上思った。
とりあえず、まずはユニフォームのサインだと判断し、わたしはバッグの中をさらに漁りながら話題を切り出した。
ユニフォームを広げ、背番号が良く見えるように彼に向ける。