青い残光【完】














ギュッと拳を握った。



爪が手のひらに食い込んで痛みを感じたけれど…その痛みがこぼれそうな涙を食い止めた。









せめて…あなたの前では、笑顔でいなければ……。
これ以上、困らせたくない…。








その思いが、わたしを踏ん張らせた。






引きつる顔の筋肉を、笑顔の形のままで固定させようと力を入れた。



彼のわたしを気遣うような視線は、何か言いたそうだったけれど…彼は何も言わなかった。











「………本当は分かってました…。梅さん…すみません……。」








「おっしーは悪くないよ。……ごめん。」







「………いえ……もう、大丈夫ですから!」








わたしが微笑むと、彼は戸惑っていた。話題に困っているようで、目に見えてオロオロしている。





なので、わたしは彼に助け舟を出した。













< 116 / 183 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop