青い残光【完】
わたしが「練習、お疲れ様でした」と彼にお辞儀をすると…会話の終わりを理解したらしい。
会話が終わったことを少し嬉しそうにしながらも、彼はためらった。
迷うようにしながら、彼はわたしの頭にポンと手を置いた。
そして、彼はわたしの隣をすり抜け……車へと歩き出した。
わたしは、その背中を見つめた。
遠くなる背中を見ていると、じわりと涙が浮かんできた。
まばたきすれば、涙が落ちそうだった。
だけれど、今涙を流すのは嫌だった。
唇を噛み締め、涙をこらえながら彼の後ろ姿を見つめていたら………
不意に彼がこちらを振り返った。
「………!!」
それは、わたしにとてつもない衝撃を与えた。
立ち尽くすわたしを気遣うように、こちらを見た後……彼は車へと乗り込んだ。
そして、間もなく車は走りだし、彼はいなくなった。
車が見えなくなるまで、見つめた。
彼の車が見えなくなった頃……わたしは、地面に膝をついた。