青い残光【完】
その日も翔さんは、いつも通りだった。
デートで何度も行ったイタリアンで食事をして……
夜景が見えるタワーにやってきた。
ここも何度か、翔さんと見に来た場所だった。
眼下で輝く光は、まるで宝石のようにきらめいていた。
その夜景を見つめながら、翔さんはゆっくりと切り出した。
「…瑠璃ちゃん……、俺と、別れてくれないかな?」
「え………?」
突然の言葉に、わたしは思わず翔さんを見つめる。
ゆっくりと、彼の視線が夜景から離れてわたしを捉えた。
その表情は、悪ふざけなんてしていない。
……本気で言ってるんだな。
そう思った。
「瑠璃ちゃんのことが、嫌いになったんじゃないよ。……ただ…、」
「…………」
「彼女に、本当は別に好きな人がいるのは……俺には耐えられない。」
思わず、息を飲んだ。
頭がクラリ、とした。
まるで宙に浮いているような、よく分からない浮遊感がする……。
間違いなく、わたしは…動揺している。