青い残光【完】
翔さんには、彼のことは話したことがない。
絶対にないのに……翔さんは、わたしの本心を探り出していた。
翔さんは…わたしが思っているよりもずっとずっと、聡明な人だった。
「翔さん……」
「瑠璃ちゃんの気持ちは、見ていて何となく分かった。多分……梅田大貴選手、かな?彼を、ずっと見ていたよね。」
言葉なんて、本当は関係なかったんだろう。
彼は、わたしの視線を見ていたのだから。
そして、言葉にしなかったわたしの本心に気付いた。
わたしは言葉に迷い、目を伏せた。
そんなわたしの頭を、翔さんは優しく撫でる。
その手は、変わらず優しい。
翔さんは、言葉に詰まったわたしに変わり、話し出した。
「ごめんね、瑠璃ちゃん…。俺は、俺のことだけを真っ直ぐ見てくれる人と一緒にいたい。………こんなの…お互いに辛いだけだ。」