青い残光【完】
「あの……怪我、もう大丈夫なんですか?」
「あー…うん、だいぶ良くなってるよ。あとちょっとで試合も出られると思う。もう少しでボールに触れるだろうし楽しみだよ。」
彼の笑顔に、わたしはホッとした。
…良かった、梅さん笑ってる。
だけれど………気になったことがあった。
わたしは準備していた差し入れを手渡すと、彼は受け取った。
彼はすかさずお礼を言った。
「梅さん、怪我には気を付けてくださいね、」
「うん、ありがと」
そう言って、彼は帰って行った。
黒い車に乗り込み、見えなくなるまで……わたしは見送った。
わたしには一つ、気になることがあった。
彼の笑顔が、いつもと違った気がする。
「…………」
だけれど彼は、誰にでも弱音を吐くような人じゃない。
わたしに言わないということは……わたしには、彼の笑顔が元に戻るのを待つことしか出来ないのだと思った。