青い残光【完】
彼はとても楽しそうで、ずっと一生懸命走っていた。
彼は本当にサッカーが好きなんだと、見ていてすぐに分かった。
わたしは、金網にぶつかるほど近付いて、できるだけ彼を近くで見ようとした。
友達は、お目当ての先輩を見つけてキャーキャー言っていたけど、もうわたしの耳には届かなかった。
「………かっこいい。」
「えっ?なんか言った?」
「……別に」
友達には、恥ずかしくて言えなかった。
見た目はそんなにタイプじゃない。
だけど、かっこいいと思った。
初めての「一目惚れ」だった。
わたしは、名前も年齢も知らない彼を、追いかけようと決めた。
そう、それが………
わたしの人生を変えた出会い。
そしてーーーー
底なし沼の始まりでもあった。