青い残光【完】
試合を皆と観戦したけれど……わたしの視線は常に彼を探した。
彼の出番はほとんどなかった。
後輩マネージャーにルールを教えるためちょこちょこと解説をしながは試合を見つつも…。
わたしの視線はずっとベンチへと向いていた。
彼は、後半の15分からの途中出場。
それに、彼にとっては慣れないポジションでの起用だった。
思うようなプレーが出来ないのか、試合中も終始険しい顔をしていた。
こんな彼を、見たことがなかった。
結局チームは勝利し、周りの選手やコーチとは笑顔でハイタッチしていたものの……その後彼が笑うことはなかった。
わたしたちは彼の雰囲気を察して声をかけることが出来ず……そのまま会場を後にした。
彼は今、苦しいんだろう…。
それは見て分かった。
だけれど、わたしは彼にアドバイスが出来るわけでもない。
彼を笑顔に変える自信もない。
わたしに出来ることは何もないということも分かっていた。
彼にとっての「救い」があることを、願うことしか出来ない自分を恨めしく思った。