青い残光【完】
新天地として着いたチームでも、彼は練習試合くらいにしか出られていなかった。
出場した練習試合では、社会人リーグでプレーしていたとは違うポジションになっていた。
きっとまた、不慣れなポジションを任されているのだろう。
今までやってきたポジションでは役割を得られず、打ち砕かれたような思いになっていないだろうか、と心配だった。
サッカーでは「ポリバレント」、「ユーティリティ」という言葉がある。
「多機能」という意味を持つ、複数のポジションをこなせる選手のことだ。
きっと、この苦境を乗り越えれば彼はポリバレントな選手になれる日がくるのだろう…。
きっとどこかのポジションで試合に出られることも多くなるはず。
試合に出られることが全てであるプロでは、どんな形であれどんなポジションであれ試合に出ることが一番。
それは分かっているけれど……
彼は今、何を思っているのだろう……
わたしは、ここでも彼の「救い」があることを祈ることしか出来なかった。