青い残光【完】
それでも、優しいきらりさんはわたしに同調してくれていて、悲しくなっているんだと思う。
わたしはなんて言えば良いか迷って、目を伏せて手元のカフェラテを見つめた。
カフェには急速に、重苦しい雰囲気が立ち込めた。
きらりさんのためらうような気配が聞こえた。
そして、気遣うようにわたしに話しかけた。
「……ごめんね、今あたし、余計なこと言ったね」
「……いえ。」
それから、とってつけたようにきらりさんは高校時代のサッカー部員が今どうしているのかを色々教えてくた。
キャプテンもまだ大学でサッカーを続けているらしく、スタメンになれるよう頑張っているとか……。
そんな会話をしていても、この雰囲気が軽くなることはなかった。
それを見かねたきらりさんは、九州でのわたしの思い出話が聞きたいと話題を変えた。
わたしの思い出話をきらりさんは楽しそうに聞いてくれ、話は弾んだ。
わたしも、だんだんと気が紛れてきて楽しく九州での出来事を話した。
気がつけば数時間話し込んでいたようで、午後7時前だった。
もうすぐ空は、夕暮れへと変わる時間。
きらりさんは別れ際に、梅さんに関しての情報があれば今後も連絡をすると約束してくれた。
わたしはお礼を言い、変わらない笑顔で手を振るきらりさんと別れた。
わたしは、一人空を見上げた。
空は薄い水色。
夕焼けのオレンジと、夜の藍色が混じったような色。
ハッキリとせず、曖昧なグラデーション。
まるで、わたしの心のようだった。
わたしは複雑な心を抱え、しばらく空を見上げ立ち尽くした。