青い残光【完】
随分と長い間、ピッチを見つめていたらしい。
練習を終えた選手たちはゾロゾロとロッカールームへと戻っていくのが見えた。
サッカー選手の練習は、だいたい2〜3時間程度。
一日2部などに分けて練習をすることもある。
練習が終わり、ロッカールームで汗を流し、集まったファンサービスをして帰宅する。
若手の選手は全体練習が終わっても自主練をしたり……ベテランの選手は体のケアを大切にして入念にマッサージして帰ったり、選手の帰宅時間は人それぞれ。
今日も、練習が終わって10分程度で既に既に数人帰路についた選手がいた。
練習場に来ていた周囲の人たちは、ロッカールームから出てきた選手に声をかけたり、サインをもらったりしていた。
だけれど、わたしの視線はピッチへと向いていた。
視線の先、彼は熱心に自主練をしていた。
トラップ、ドリブル…一人でも彼は一生懸命だった。
たとえ自主練でも真剣で、楽しそうで…心底サッカーが好きなのだということが見ていて伝わる。
そんな彼を見るのが、わたしはとても好きで幸せだと感じた。
なぜか、涙が薄く滲んだ。