青い残光【完】











そのうち、彼は自主練を終えてロッカールームへと戻って行った。
他の選手は既に帰ってしまい、練習場に残っているのもわたしだけになってしまっていた。







それでも、わたしは彼を待っている。
この時間は、嫌いじゃない。








しばらくさっきまで彼が走り回っていた芝を眺めながらボーッと待っていたら、遠くでドアの開く音がした。







振り返ると、そこには私服でゆっくり歩き出した彼がいた。


わたしは、一気に緊張して息を飲んだ。








彼は帰路につく為に、出口のあるこちらへと進んでくる。
少し遠くを歩く彼は、まだわたしに気付いていない。






彼は時間を確認しているのか、手元に持っていたケータイのディスプレイをチラリと確認し、ポケットにしまった。









わたしは、彼へと歩き出した。
ドキドキと緊張して、冷えた指先をギュッと握った。











「……梅さん!」







「!?」








突然、進路の途中に人が現れて名前を呼ばれたことに彼はひどく驚いていた。


お互いを見つめたまま、数十秒の無言が生まれた。
彼はまだ、驚いたままだった。














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