your magic
日本史の佐久間先生が図書室に来たとき、私は普通に作業していて、批判に対応する心の準備が全くできていなかった。たまたま来た町田先生が、私の窮地を見抜いてフォローに回ってくれなかったら、たぶん、私はその場で辞表を作成するか、明日以降出勤拒否をしていただろう。

「気にしないでって言っても、難しいだろうけど、あの先生、独特だから・・・ね。」

町田先生の優しい言葉に、張りつめていた気持ちが切れて、涙がにじんだ。

「仕事は終わったの?今日は切り上げられそうなら、帰っちゃえ。」

コクンとうなずくしかできなかった。

中断になっていた作業を確認し、明日以降に回して、今日は帰ることにした。作業をしてた机を片づけて、カーテンを閉めながら1つ下の階の音楽室を見た。部屋の電気は消えていた。いつの間にか吹奏楽部の練習も終わっていた。

私はなぜだか分らないけれども、がっかりした気持ちになり、ため息をついた。練習中だからといって、音楽室の方を見たら大好きな正樹さんの顔を見ることができる、というわけではないのに。
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