スキというコトバ
やっと聞けた愛しい声。


でも、聞いてもドキドキなんかしない。


ただ、ドキドキとは違ってバクバクという鼓動がおさまらない。


莉奈は私の気持ちを察したようだ。


「あ、当たり前じゃないですか。内緒にしておきます。じゃあ、また明日。心優っ、行こっ!」




そのまま走る。走る。


着いた場所はフードコート。


空いている席に腰を下ろす。


「心優?大丈夫?」


いいずらそうに遠慮がちに話す莉奈の声が嫌にまとわりつく。


「うん、大丈夫だよ。全然…ッ…」


我慢していた涙がこぼれおちる。


「……ンッ…」


止めようと止めようとしても涙は滝のように流れる。


心配そうに見つめる莉奈。


「そりゃそうだよね。25才のあんなかっこいい人に彼女がいないわけがないもん。ま、最初から叶わないって分かってたし。」



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