チョコビスケット
「ごめんね、理子ちゃん」
「あたしは大丈夫だよ。それより、何があったの?」
「......」
理子ちゃんはトイレから出てきたあたしを心配してそのまま授業中にも関わらず校舎の屋上へと移動した。
「言えない?」
「...ごめん」
言えない。言いたくない。
こんな、穢れたあたしの話なんて。
はじめてできた友達なのに、こんなことで居なくなるなんてやだ。
「ん、わかった。...でも、溜め込んじゃだめよ?話せる時がきたら、そしたら、話してくれると嬉しい。」
「ありが、と」
理子ちゃんの優しい声が、胸に染みた。
手放したくない友達。
だから、話せない。
『燈那。お前は俺だけのもの』
あの人の、義兄ちゃんの事なんて...。