人形探し
部屋に入ると、夏帆は枕元の目覚まし時計に目を向けてた。


「夏帆? 紅茶、淹れてきたよ」

「あ、ありがとう」


春樹に青、夏帆に黄緑のマグカップを渡した。


「何見てたの?」

夏帆に尋ねると、困ったように笑って、マグカップの中の紅茶をそっと飲んでから


「……あと、7時間したら、もしかしたら人形探しが始まるかもしれないんだなって」

「あぁ…。ねえ、春樹は悪戯だと思う?」



春樹はいつの間にかベッドに座っていた。


んー、と唸ってから、マグカップに目を向けたまま、重い口を開いた。



「俺、本当に人形を探さなきゃいけない気がする」

「っ、なんでっ!?」


夏帆は驚いたような怒ったような口調で、隣にいる春樹の腕を掴んだ。


マグカップを手放したせいで、夏帆の手から黄緑のマグカップが落ちる。



中に入ってた紅茶も、ピンクのカーペットの上に溢れた。



「あっ、ご、ごめ…」

「大丈夫。春樹、説明してあげてよ」


春樹はコクリと頷いて、腕を掴んでいる夏帆の白い手を掴んで自分の体から離した。
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