人形探し
春樹は背高いし、運動神経抜群だし、男子からも女子からも人気がある。


結構鼻が高い幼なじみだったのと同時に、なんとなくずっと胸がムカムカしてるのに気付いてた。


「それを恋って言うのよ!」


食後の一服、ココアをコクリと一口飲んだ夏帆は、そう言い切った。


私もココアの入ったマグカップを持ったまま、えぇと悲鳴を小さくしたような情けない声を出す。



「だって、幼なじみだし…」

「関係ないって!」

「それに、里奈が…」

「あんなの、ただの男好き!」


何を言っても夏帆に否定されて、私は言葉をなくす。


一瞬シンとした空気になってから、夏帆は大きく溜め息を吐いた。



「玲美って、自分のことに関しては鈍いよねえ」

「鈍くないよっ!」

「またまたぁ〜!」


夏帆は冷やかしのような目を私に向けて、ニヤニヤと変に笑う。


その視線にくすぐったさを感じて、私はココアを一口啜る。



時間なんて気にしないで、ただ話してた。




――――時間はいつの間にか、22時になっていた。
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