人形探し
視界に入った時計を見て、つい口に出した。


「いつ、始まるんだろう…」

「っ、だ、大丈夫、だよね…?」


私よりも不安がってた夏帆が、涙声で私に同意を求めてきた。


何も言えずに、ただ夏帆の目を見つめ返す。


段々不安が募っていく中、急にケータイが音を発した。



私のケータイも、夏帆のケータイも。



「こんな時間に誰? 亜矢とかかな?」



ブツブツ言いながらメールフォルダを開いてみると、そこには信じ難い題名が書かれていた。



「“かくれ鬼開始まで、2時間”…?」

「なによ、これ。誰かの悪戯でしょ!?」


送信者の名前は、田中絵麻。



「ねえ、絵麻ってケータイ、持ってなかったよね?」

「うん。自分で払えるようになるまで買ってもらえないって言ってた」



私はメールフォルダを閉じて電話帳を確認する。


た行を見ても、田中絵麻と言う文字は見つけられなかったし、あ行を見ても絵麻と言う文字すら見つけられなかった。



なのに、なんでメールの送信者のところに名前が入るの?


おかしい。こんなのおかしい。



「…メールの内容、確認しよう」

「でも、玲美。もしかしたらウイルスが入り込むかもよ?」


もしこれが悪戯メールだったら、ウイルスに感染する可能性も十分にある。


「その時は、アプリで駆除すれば良いよ」



私は夏帆の言葉なんて聞き入れずに、メールを開いた。
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