人形探し
シンとした静寂が、痛いくらい耳に染みた。


ずっとこうしてても何も変わらない。

覚悟を決めて、そっと目を開いてみると。



「え!?」


そこには、何もなかった。


人を引いたようなタイヤの跡も、ましてや絵麻の身体も。


どうゆうことなの?一人で目を見開いて驚いていたら。



「……玲美」

「きゃあ! って、絵麻!? さっき道路に……」

「玲美ぃ」


私が言い終わる前に、絵麻は言葉を発した。


さっきとは違って、絵麻の顔は筋肉が緩んで笑顔が見られる。


そんな絵麻に、少しホッとして



「何? さっきのマジックー? 朝からビビらせないでよね!」


笑って、絵麻の肩をポンっと叩いた。


制服の上なのに、私の手は冷たさを感じた。



「ねえ……私達、友達でしょ?」

「え、う、うん……」


笑ってるのに、いつもの絵麻とは違った。


「ねえ、遊んでくれるよね?」

「あ、当たり前だよ!」

「良かったあ。……じゃあ“人形”を探して」


意味が分からなかった。


人形って、何?



「どうゆうこと?」

「今夜0時、学校に来て人形を探してください。見つけてください。じゃないと」


風が強く吹いて、アスファルトの上の少しの砂を吹き上げた。



「じゃないと、みーんな! “絶交”だからね」



絵麻のいつもとは違う笑い声が聞こえた。


「アハハハハハハハハっ!!!!」



砂ぼこりのせいで、前が見えない。




気付いたら、絵麻は私の前から姿を消していた。
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