人形探し
さっきのは何だったんだろう、と言うくらい普通の世界が戻ってきた。

「なんだったの……?」


今のは夢だと思いたくても、私の手にあの冷たい絵麻の身体の感触が残ってる。


右手でギュッと拳を作る。

確かに、絵麻の身体は人間の感触がした。


でも、絵麻は一瞬で私の前から消えた。

それは、人間の出来る技じゃない。


周りに隠れられる場所があれば、別だけど。


周りには、そんなところ一つもない。



もう一度首を傾げた時、ちょうどバスが私の前に到着した。


何がなんだか分からないまま、私はバスに乗り込んで学校へと向かう。




そのバスの中には、もちろん絵麻の姿もなかった。
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