ラスト・プレゼント(さようなら と、愛してる。)




″彼女″が居なくなった冬が過ぎて、2度目の冬。




…1年 経っても、″彼女″は帰って来なかった。




″私″には たくさん与えて くれるのに、

貴方は″あの日″から ほとんど食べ物を口に しない。


目に見えて痩せていく貴方が、…痛々しい。




″私″には どうする事も出来ないから、

とにかく、一刻も早く″彼女″に帰って来て欲しいんだけど…。




でも きっと″彼女″も、

何の理由も無く、大好きな貴方を置いて行く筈が ないから、

何か、どうしようも ない事情が あるんだ と、思う。


だから大丈夫だよ、″彼女″を信じて待ってよう って…、

せめて貴方に伝えられたら いいんだけど、

貴方は″彼女″の事を、誤解したまま…。






……。




……『言葉』で伝える事が出来ないのなら、

″私″が″彼女″を探し出して…


貴方の元へ連れて来るのは どう、だろう…?






その時…

住み慣れた、″彼女″と貴方との思い出が たくさん詰まった この家を、

出て行く決心を、固めた。




″彼女″が居なくなったのと同じ、真っ白な冬の朝に…

ひっそり と″私″は″、彼女″を探す旅に、出た。





< 10 / 46 >

この作品をシェア

pagetop