ラスト・プレゼント(さようなら と、愛してる。)




―…










『ちょっとサナちゃん…

どうしたの、大丈夫?』






鈴を振るような…あの日と同じ、

″彼女″の声が、聴こえる……。


どう、したんだろう。


…″私″を見つけて、来てくれたのかな…。






期待に胸を膨らませて目を開けると、

真っ白な…冷たい雪だけが、視界いっぱいに映った。




幻聴……?




″彼女″は、何処にも居ない。






辺りを見回して、初めて

世界が もう夜に なっている事に、気付いた。




″私″…

お腹 空いて動けなくなって、

いつの間にか、寝ちゃってたんだ…。






このまま寝続けてたら、

きっと、死んでた。




″彼女″の幻聴が、救ってくれた。




……。




もしかして…、


″彼女″は もう、魂だけの存在に なっているのかな……?




……違う、違う!




そこまで考えて、慌てて

不吉な考えを、頭から追い払った。






…″彼女″は、生きてる。




それに貴方も このまま生きてて…、

また絶対に、2人と″私″とで…一緒に暮らすの。





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