ラスト・プレゼント(さようなら と、愛してる。)
「………彼女の向こうに男の人が居て…、
その時は、ただ″彼氏が迎えに来たんだ″って、思っちゃったの。
だから、
彼の方にも、″彼女には お世話に なったの。本当に ありがとう″って挨拶して。
…彼は、すごく嬉しそうな顔してた。
それは、彼女の事 褒められて嬉しかったんだろう って、
その時は何の違和感も感じなかったんだ けど…」
そう言って、
写真の中の、笑顔の″彼女″と貴方を、交互に見る。
「彼女の方は…
こんな風に、笑って なかった。
それも、
あの時は、照れてるだけ なのかな なんて、思っちゃって…。
私……、大変な事を……。
折角 親切に してくれた彼女を見殺しに……」
「そんな…
そんな事、ないわよ」
友達の おばさんが、慰めるように、
今にも泣き出しそうな おばさんの肩に、手を置く。
けれど おばさんは ふるふる と、首を振って続けた。
「いいえ。
この写真を見て、分かった。
それに…、
あの時 迎えに来てた男の人は、この人じゃ なかったもの…!
彼女は……、
″あの日″から、戻って ないんでしょ…?
きっと あのまま、
あの男の人に連れてかれちゃったのよ…!」