ラスト・プレゼント(さようなら と、愛してる。)




『…そうそう、″彼女″は……


声が出なかった みたいなの』




…………!?






『私の家の雪かきを手伝ってくれた時も、声は一切 聴けなかったんだ けど…、

でも、この男の子と一緒に写ってる写真を見てると、すごく幸せそうで……


………、…………だから…………、………』




『それなら……、………で………』






当然″私″が会話の全てを理解してる なんて思わないから、

おばさん達は ずっと、そのまま話を続けていた。




でも″私″は……、

衝撃の事実に愕然として、暫く体に力が入らなかった。








初めて会った時から、

″私″は″彼女″の声を聴いていた。


でも、おばさんは…

一昨年の冬に″彼女″の声は聴けなかった と、言っている。




一昨年の冬、

″彼女″は雪かきを手伝った後 家に帰って来て…、

いつもと変わらずに私達と過ごしてるんだよ?


いつも みたいに貴方と笑い合って、

″私″にも普通に話し掛けてくれて……。


でも そんな私の思いは、

次の おばさんの言葉で あっさり覆された。





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