ラスト・プレゼント(さようなら と、愛してる。)




でも…、

本当は、分かってる。


″彼女″は…

そんな事、出来ない。




″彼女″は…

あれ以上 貴方を1人で居させる事に、耐えられなかった。


2度と戻らないつもりで来たけれど、

どうしても耐えられなく なって、彼らから逃げ出して…、

自ら命を、絶った。




″彼女″は、自分が浮気をして出て行ったと思わせる事で、

貴方と『悪の組織』を完全に分断して、貴方が助けに来ないように した。


だから仮に、そこから脱出 出来る事が あった と しても、

貴方の居る家に戻るって選択肢は、最初から無かった筈なんだ…。




ずっと ずっと、貴方だけを想っていたのに、

貴方に"浮気した"って恨まれても、貴方の身に危険が及ばないように する方を優先して、

″彼女″は、家を出て行った。


それで、貴方を残して来てしまった事に耐えられなく なって、

家にも戻れず、たった1人で死んでしまったの…。






あの時…雪の中で聴いた声は、

やっぱり、″彼女″のもの…だったの かな。


やっぱり″彼女″が″私″の命を救ってくれて…、

貴方の元へ帰して くれたのかも、しれない。




貴方を1人に しないで。


せめて、″私″だけは貴方の側に居てあげて って……。




そんな思いが、あったのかも、しれない。





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