ラスト・プレゼント(さようなら と、愛してる。)




―…










『…どうしたの?


そこ、寒いでしょ。


こっち おいで』




鈴を振るような声に釣られて、

思わず外の世界へ出てしまった。




子供達が面白がって声を掛けて来るのとは、違う。


でも…すぐに

警戒して出なかったら、無理矢理 引っ張られた事を思い出して、

元の隙間に逃げ込んだ。




″彼女″は そんな″私″を、真ん丸な目で じーっ と、少し小首を傾げながら見ていたけど、

そのまま追い掛けて来る事も、無理矢理 引き摺り出そう とする事も、なかった。


ただ、


『そっかぁ、其処が いいのね』と柔らかく微笑って、その場から去ってしまった。




″彼女″は居なくなって しまったのに、

″私″は置いて行かれて しまったのに、

後には柔らかい空気の余韻が残っていて、

なぜか冷たい感じが しなかったのが、不思議で仕方なかった。






″彼女″は まるで、ふわふわ した…

綿菓子のような人、だった。





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