ラスト・プレゼント(さようなら と、愛してる。)
次の日も、子供達が面白がって やって来た。
何にも食べてないから、他の場所に移動する力も なくて、
ただただ震える″私″に、子供達は なかなか休む時間を くれなかった。
中には、″私″を本当に心配して何とか しよう と してくれる子供も居たけど、
あまりにも長い間 出て行かないと、やっぱり途中で飽きたり、諦めたりして、帰ってしまう。
寒さに震えながら、
″私″は どうする事も出来ずに、同じ場所に留まり続けていた。
『…あ、まだ ここに居た』
その時、また鈴を振るような声がして、
思わず顔を上げる。
目が合うと、″彼女″は優しく微笑んだ。
『はい、これ あげる』
ふわふわな笑顔を浮かべて、″彼女″は温かなミルクと、
″彼女″の雰囲気と まるで同じ、ふわふわの毛布を くれた。
『…アナタ、
いくら言っても そこから出て来てくれそうに ないからね(笑)』
そう言って、また綿菓子みたいに、微笑った。
″彼女″の、
″私″を無理矢理この場所から引っ張り出さない、1歩 踏み込まない距離感が心地よくて、
でも ちゃんと″私″の事を覚えていて心配してくれる優しさが温かくて、
″私″は この時 初めて、『人間』を好きに なった。