ラスト・プレゼント(さようなら と、愛してる。)




―…










「…あ、降ってきた」




貴方の声に反応して窓の外を見ると、

本当に いつの間にか、雪が降り出していた。


さっきまでヒューヒュー鳴っていた風も、

もう止んでいる。




確かに寒いの は″私″も嫌だけど、

雪が舞う、幻想的な この景色を見てるのは、好き。




貴方の横顔を見上げると、

何だか雪に紛れて貴方も消えてしまいそうで、″私″は貴方に しっかり くっついた。






「ん?


蛹も見る?


…よいしょ。


はい」




″抱っこ″と勘違いしたのか、貴方が″私″を持ち上げて

窓の外の景色が大きく見えるように、してくれた。




真っ黒な夜に、真っ白な雪。


しんしん と 降り積もる それに、

音も何もかもが一緒に吸い込まれて、時間が止まっている みたいに、静かだった。




大好きな貴方と過ごす、

静かな静かな…冬の、夜。





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