ラスト・プレゼント(さようなら と、愛してる。)




―…










夜の間に雪が降り積もった…

真っ白な、冬の朝。


光に照らされた雪が眩しくて、目が痛いとすら思う…


そんな朝に、

…″彼女″は、居なくなった。




あの時の貴方の様子と言ったら…、

今 思い出しても辛いくらい。


気が狂って、″私″は思わず貴方が壊れてしまうんじゃ ないか と、思った。




今は もう、あの時のように取り乱したりは しないけれど…、


″彼女″の居ない家は、火が消えてしまった ようで、

心の拠り所を失ってしまった貴方は、日に日に衰弱していく。


″私″に直接″彼女″の話は しないけれど、

貴方は″彼女″の事を、あの日から1日も、忘れられないんだ と 思う。




ただ1度だけ…

″彼女″が居なくなった日、暴れるだけ暴れて少し落ち着いた貴方は、

″あいつ、浮気してたんだ…″って、ぽつり、″私″に こぼした。


だから本当は、

″出てくのは当然だ″、″自分は捨てられたんだ″って、″彼女″を責めて、

″彼女″の事を嫌いに なって、″彼女″を忘れたかった と 思うんだけど…、


でも、出来なかった。




貴方は ずっと、

″彼女″の事が大好きで、少しも忘れられない。


ずっと″彼女″を想いながら、

″彼女″の帰りを、待っている。






″彼女″は″私″が初めて好きに なった人間だから、

もちろん、大好き。


貴方は″浮気した″って言ったけど、

″私″は、″彼女″は そんな人じゃない って、信じてる。




貴方は そんな大好きな″彼女″の『恋人』だから、

当然、彼女と同じ位 大好き。


だから、大好きな貴方が弱っていくのを見ているのは、

辛くて辛くて…、居たたまれない。




神様…もしも神様に願いが届くなら、

貴方に″彼女″を早く返してあげてください…。





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