ラスト・プレゼント(さようなら と、愛してる。)
―…
今朝は、″あの時″と同じ…
夜の間に降り積もった雪が朝陽に照らされて眩しい位に光っていて、
静かで何の音も聴こえないのに、思わず耳を塞ぎたくなるような…
明るくて真っ白で、痛くて冷たい朝。
貴方がデジャヴを起こすんじゃ ないか って心配で、
慌てて隣に居る筈の貴方の姿を、探した。
「……」
…よかった、まだ寝てる みたい。
穏やかな貴方の寝顔を見て、
ほっ と 息を吐いた。
いつもは顔をペロペロ舐めて貴方を起こしちゃう けど、
今日は雪が解ける頃まで、寝てて欲しい。
せめて、この静謐な朝じゃ なくなるまで…
外の景色を見ないで欲しい。
「……ん、…蛹……?」
″私″の願い虚しく、貴方が身じろぎ した。
はらはら しながら、様子を窺っていると、
貴方は目を ごしごし こすって…、
外の景色には目も くれず、″私″を見つけると、顔を ぎゅーっ と、押し付けて来た。
「蛹、…ふわふわw」
そして そう言うと、
そのまま ぱたん と 急に力を抜いて、また寝息を立て始めた。
「……」
重いけど……
この朝 特有の、寝ぼけてる無防備な貴方が″私″は1番 好きだったり するから、
重くても何でも、全然 我慢 出来る。
それに貴方は、外の景色を見なかった。
その事が、何よりも…良かった。