仕事しなさい!
軽い怒りが見えた気がした。
次の瞬間、逃げる間もなく須賀くんが私の肩をつかんだ。

缶コーヒーがはずみで地面を転がる。残った液が土に黒々とした染みを作った。

須賀くんが当然のように私にキスをした。
引き寄せ、抱き締める。いつもの束縛的なキス。

私はキスから逃れようと足掻く。


「須賀くん!……ここっ……人通るから!」


私はキスの合間に必死に訴える。
夜の公園はまだ散歩している人がちらほらいる。
さっき客席にいた人たちが通りかからないとも限らない。


「いいじゃないですか。見せつけてやりましょーよ」


須賀くんが舌を覗かせた口で言う。
唾液で光る唇がすごくセクシーだと思った。
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