仕事しなさい!
裏切り
1
「安斉さん、楽しそうですね」
仕事の合間、ほとんどの営業さんが外出して空いたオフィスで、
西村くんが言った。
私は一息入れようと用意したコーヒーを置く。
「普通だよ」
なるべく冷静に響きますように。
心当たりのある私は祈る。
「須賀さんとうまくいってるとしか思えない。悔しいですね」
とても、悔しくは聞こえない呑気な口調で西村くんは言った。
基本、のほほんとした彼だ。
からかっているつもりもないらしい。