仕事しなさい!
藤堂さんの声が言った。


「三課の安斉倫子いるだろ?あの地味な女。あいつが入社以来全然男っ気がないからさ。処女なんじゃねーかって話になって」


「処女かそうじゃないか賭けすることになったんだよ」


心臓がどくんと鳴った。

それを最後に動きを止めてしまうんじゃないかというくらい、大きな音だった。

しかし、不幸なことに私の心臓は止まってはくれず、
さらに残酷な真実を耳にすることになる。


「確かめる係に立候補したのが、須賀でさ。なのに、こいつまだ何にもできてねーの。ダセーだろ!」


そこで、場にいる数人の男性陣が一斉に笑った。

盛大な笑い声をかき消すように、須賀くんが声を張り上げる。

< 139 / 238 >

この作品をシェア

pagetop