仕事しなさい!
「今更どの面下げて?ってやつですよ、須賀さん」


西村くんが私の手をぎゅっと握り直す。
態度はにこやかで余裕綽々。


「あんな話を知られて、申し開きも何もないでしょう」


「おまえとは話してない。おまえは関係ない」


「関係ありますよ。好きな女性が傷つけられたんですから。安斉さんはもう話したくないと思いますよ」


西村くんの言葉に賛同するように、私は顔を伏せたまま、彼の後ろに身を隠した。

いたたまれなかった。
自分が今何をしているかも、もうわからない。

早く戻りたい。

居心地のよいひとりきりの世界に。



「倫子さん……話、聞いてください」


「僕らは仕事あるんで。須賀さんもオフィスに戻りましょうよ」


西村くんは私の手を引き、彼の横を通り過ぎた。


須賀くんの視線を背中に感じながら、私はオフィスの扉を閉めた。



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