仕事しなさい!
「倫子さん……」


何時間待ったのだろう。
スーツ姿の須賀くんが立っていた。


「帰って」


「謝りに来ました」


横を抜けようとすると肩をつかまれた。
その気安い接触に嫌悪を感じて、私は須賀くんの手を振り払った。
そのまま、二・三歩下がって距離を取る。


「倫子さん、本当にすみませんでした」


須賀くんが頭を下げる。
そんな謝罪、無駄だ。
見たくもない。


すぐに、須賀くんがガバッと身体を起こす。


「俺、ずっと、あなたに憧れてました。納涼祭で助けてくれた時から」


「………」
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