仕事しなさい!
階下で須賀くんが、捨てられた子どものような表情で私を見上げている。

なぜだか、笑いが込み上げてきた。

滑稽だ。
私も彼もバタバタとせわしない人形劇みたい。
糸はもう切れている。
あとは、地べたに転がるだけ。

私は虚ろに微笑んだ。


「もう、きみと話すこともないと思います。
仲間に『処女だった』って、結果発表して賭けは解散してください。私も、社内で長い間笑い者にされてるのはツライので」


「倫子さん!」


「エッチ……しないでよかったね、お互い」


最後にへらっと笑うと、私は彼に背を向けた。
須賀くんが私を追ってこないことはわかった。
だから、私はゆっくりと階段を上がり、一度も振り返らずに部屋に入った。


それで、おしまい。

私は泣くことも怒ることもせず、服を脱ぎ捨てベッドに入った。
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