仕事しなさい!
海辺にて
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内房の小さな町に兄夫婦が暮らす家がある。
昔、祖父母が住んでいた家を改装して、小料理屋をしているのだ。
夏場は離れを格安の民宿としても貸している。
まだ、シーズンには早い6月、私はバッグひとつを担いでこの家にやってきた。
都内から電車で二時間半。
小旅行だ。
玄関を開けると、3歳10ヶ月になる一人息子の海士(かいじ)が飛び出してきた。
「りんちゃん!」
「海士大きくなったね。今日、保育園は?」
「朝、お熱が少しあって、行けなかったの」
後ろから引き取るように言ったのは義姉の葉子(ようこ)さん。
「あら、じゃあランチタイムの営業は私が海士を見てるね」
「ありがとう。実は倫子ちゃんをアテにしてたのよ」
「まかせて、ただ飯食らいにきたんだから」
私は居間に荷物を置かせてもらい、海士と海岸に出た。
葉子さんから二人分のお弁当を預かって。