仕事しなさい!

2




私は彼を見て、嫌悪と畏怖しか感じなかった。

だって、こんなところまで追いかけてくるとは思わない。
私はこの男を忘れたくて、逃げてきたのに。


「何……してんの?」


私は掠れそうになる声で聞いた。



「倫子さんを迎えにきました」


「なんで、ここがわかったの?」


「西村が、倫子さんが千葉のお兄さんの家に行ったって教えてくれて。あとは、倫子さんの同期のサキさんに連絡を取りました。そしたら、サキさん、昔ここに来たことがあるっていうから」


確かに、サキちゃんといつかの夏休みに兄の家に来た。
そんなことが仇になるとは。
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