仕事しなさい!
小さな町の路上で話し合いは目立つ。
私はやむを得ず、泊まっている民宿の部屋に須賀くんを通した。


「話って?」


私は畳に座らなかった。
いつでも逃げ出せるように、早く話を済ませられるように。

相対する須賀くんも立っている。


須賀くんが再び頭を下げた。


「倫子さん、本当にすみませんでした」


もう、そんな謝罪いらない。


「あなたが好きなら、賭けなんてのらずに、連中を止めるべきでした。そんな理由をつけないと、あなたにアプローチできなかった俺は卑怯者です」


「もう、その話はいいから」


「倫子さんは想像つかないでしょ?」


須賀くんの声は震えていた。
私は盗み見るようにしか彼を見られない。
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