仕事しなさい!
私はひどい耳鳴りを感じた。
心臓が凄まじい勢いで拍動し、頭もガンガン痛みだす。

もう、どうでもいいじゃない。

私には関係ない。
須賀くんが誰と遊ぼうが、誰と付き合おうが。

でも、あの手は私の髪を撫でてくれたこともあったのだ。

彼の腕は私を抱き締めてくれたものだし、彼の唇は私をとろけさせてくれたものだ。

なのに……。


「倫子さん、帰らないんですか?」


広報課のドアが開き、そこから弓枝ちゃんが顔を出した。
声とドアが開く音に、自販機スペースにいた二人が一斉に振り向いた。

私は慌てて、二人から見えないところに移動したつもりだけれど、
たぶんばっちり視界に入っていたと思う。
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